2010/11/21

川口市の「アーティスト・イン・スクール」に参加した

 川口市アートギャラリー・アトリアが主催する「アーティスト・イン・スクール」について美術・ダンスの新生呉羽さんから話を聞いたのは、たしか春先ではなかったかと記憶している。最前線で活動しているアーティストが川口市内の小・中学校に出向いて特別授業を行い、 その成果を展示発表するという素晴らしいプロジェクトだった。

http://www.atlia.jp/about/about.php
http://atlia.exblog.jp/

川口市が規模の大きなアート・フェスティバルを開催したり、鋳物工場跡地をギャラリーにしてこれまた斬新な企画を打ち出したりしているのを、さいたま市に住む私達もすごいなぁ・・・と思いつつしっかりマークしていたので、「アーティスト・イン・スクール」の話を新生さんから聞いたとき、なるほどなぁ、とけっこう納得した。
Stuidio-BAMI のイベントやレッスン、ワークショップで私達はけっこう忙しい日々を過ごしていたが、7月の終わりに新生さんから相方の方波見智子に「アーティスト・イン・スクール」に音楽での参加と展示期間中である11月14日に新生呉羽さんとのデュオのオファーがあった。5回目を迎える今年(2010年)は、新生さんが幸町小学校で、また開発好明さん(現代美術家)が 安行中学校でそれぞれ独自のカリキュラムを組んだ特別授業を行う。
公開授業なので私は出来る限り幸小学校での授業を見学させて貰った。


私達の娘が通う小学校にも課外授業がある。
低学年、高学年をに分けて一気に体育館で音楽や劇を鑑賞したり身体を動かしたりするプログラムが組まれているんだけれど、だいたい授業二枠(一枠が45分)の時間内で、プログラムは一回なのでアッという間に終わってしまい、素晴らしいプログラムでもなかなか印象に残らないのが残念だなといつも思っていた。学校の授業スケジュールがタイトなのは良く理解できるが、できればもう少し時間をかけた綿密なプログラムを組んでいただけたらといつも思っていた。
幸小学校での授業スケジュールはこんな感じで進行した。
4年1組
1回目授業 10月8日(金)5時間目(13:40~14:25) 
2回目授業 10月12日(火)5・6時間目(13:40~14:25、14:30~15:15)
3回目授業 10月19日(火)5・6時間目(13:40~14:25、14:30~15:15)
4年2組
1回目授業 10月8日(金)2時間目(9:35~10:20)
2回目授業 10月15日(金)1・2時間目(8:45~9:30、9:35~10:20)
3回目授業 10月19日(火)5・6時間目(13:40~14:25、14:30~15:15)
さくら学級 
1回目授業 10月6日(水)3時間目(10:45~11:30)
2回目授業 10月13日(水)3・4時間目(10:45~11:30、11:35~12:20)
3回目授業 10月20日(水)3・4時間目(10:45~11:30、11:35~12:20)

一つのモノを創り上げるためにしっかり時間を確保しているのが分る。
弱ってしまった地球や人間に対して、力と夢のみなぎった空間をアートの力で創りだしたいという新生さんの気持ちを先生、子供達と共有できたのではないかと思う。


 授業内容はこんな感じだ。
私達は2回目の授業から参加した。
1回目の授業で子供たち自身が見た夢の話をして、その夢をビニールシートに描いていき、2回目の授業では懐中電灯に色セロファンを自由に貼り付けて、暗くした教室の中で光のアンサンブルをみんなで楽しみ、1回目の授業で夢の絵を描いたビニールシートを三等分に切り分け、大きな風呂敷になるようにセロテープで貼り付け、この大きなシートの端と端をこれまたセロテープで貼り付けて筒状にして、先端部はしばり、後部は野球帽状?に加工したビニール・シートを貼り付ける。そしてこのビニールシートオブジェに扇風機で空気を入れると、あ~ら不思議!巨大なソーセージ状で子供達の描いた夢が一面に広がる宇宙船の一丁上がりだ。


 出来上がったファンタジックな宇宙船に子供達は乗り込み、セロファンを貼った懐中電灯をオンにすると教室の中は一気に宇宙の中というか亜空間に変貌する。子供達と先生は宇宙船の中で狂喜乱舞だ。

3回目の授業ではみんなが作った宇宙船を体育館に運び込み、ループ状の網の中に新聞紙を詰め込んで出来た「ニョロ」と名付けられた蛇を使ったパフォーマンスをみんなで演じた。私も方波見さんをサポートする立場で楽器を持ち込み音で参加することができた。嬉しかった。

パフォーマンスはすごかった。たくさんの出来事というかストーリーが同時に展開する信じられない時間だった。私は子供達が担ぎ上げ、ものすごい速さで疾走する「ニョロ」に何度も押し倒されたのだ。

「アーティスト・イン・スクール」では表現の最前線にいるアーティストと創造的な時間をシェア出来るところがすごいと思う。なんにもない真白 な空間を新生さんが、まだ誰も見たことも感じたこともない空間に本気で設えていく姿を間近に見る子供達はみんな真剣だ。すごくグルーブする授業を私は見る ことが出来た。

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