2009/11/27

読んだ!フリージア全巻




「フリージア」のことを書こうと思います。
11巻を何回か読み返しました。 けっこうはまってしまいました。
敵討ちが合法化された、御町内で行われる執行人と警護人による代理人戦争ではないでしょうか? そして戦いは仁義なき戦いの超のつく前衛へと展開して行きます。

「フリージア」の世界はまぎれもない日本なのですが、いまの日本の状況のまんま、戦争状態であります。どこと戦争しているのか全く語られていません。ひょっとしたら内戦かもしれません。ぼくは物語中の日本とイスラエルがイコールで結ばれました。国栄えても敗れても山河なし、です。

この漫画と良く似た小説はないかな?と頭の中を引っ掻き回したら、ありました。
ポール・オースターの「最後の物たちの国で」なんてどうでしょうか?

どんな内容かというと、
主人公の女性が、失踪した兄を探しに乗りこんだ国で体験する、数々の悪夢のような出来事を綴った作品。その国は、人々が住む場所を失い、食べ物を 求めてお互いを傷つけ合い、盗みや殺人が犯罪ですらなくなってしまった、極限状態の世界。あらゆるものは消えてゆき、やがて記憶からも消え去り、すべてが 無へ向かう中、最後まで自分の手元に残る物はなにか?
こんな話です。 これはもはや終わってしまった後の世界の話です。

「フリージア」も終わってしまった後の世界。 極限の不条理。
「フリージア」の登場人物達とはあまり友達になりたくありませんが、みんな魅力的で濃いです。
ぼくはダメ警護人の岩尾ヒサエが好きです。
チャールズ・ブコウスキーの遺作にして最高傑作だと勝手に思っている探偵小説の形を借りた珍妙な小説である「パルプ」の主人公、探偵小説史上最低の私立探偵である(と勝手に決めつける)ニック・ビレーンを彷彿させます。
ヒサエは「そうだ…自分(おまえ)が死ねばいい」
ビレーンは「人はみないつか死ぬ…」
二人はこのセリフを繰り返し口にします。

絶望で真黒に染め上げられた「フリージア」ですが、11巻の最後で、もはや死んでしまったケイコの亡霊というか妄想に、さよならを言い、亡霊のケイコがヒロシの肩に手を置き「さよなら、ヒロシ」と明るく言いながらキスをするシーンは感動的でありました。

0 件のコメント:

コメントを投稿