2010/05/25

To Play: The Blemish Sessions



デレク・ベイリーの「To Play: The Blemish Sessions」を聴きながら書いている。

このCDは2003年にリリースされたデヴィッド・シルヴィアンの「ブレミッシュ」における、デヴィッド・シルヴィアンの歌のために、ロンドンのMoatスタジオに籠ってレコーディングされたソロ・セッションからアウトテイクを中心に収められたものだ。

デレク・ベイリーは、1932年、イギリスのヨークシャーで生まれ、11才の頃より正式なギター教育を受けたらしい。どういった生育環境だったか は不明(調べれば分るかも)、1960年代より急速にフリーインプロビゼーションの世界に傾倒していく。1966年ロンドンでJohn Stevens、Evan Parker、Kenny Wheeler、Dave HollandらとThe Spontaneous Music Ensembleを結成、1970年にはEvan Parker、Tony Oxleyと共にINCUS recordを旗揚げする。
その後の活動についてはぐぐってみて下さい。書き切れないんだ。
2005年12月24日、ロンドンの自宅で彼は仕上がりの音(Blemish)を聴かずに逝去。

デレク・ベイリーの音楽は俺にとって非常に難解な音楽だ。好む好まざるに関わらず、ヨーロッパ伝統音楽の歴史を背負い、60年代前衛音楽の嵐の中 に晒され、ギター一本で表現したものは、もはや何者にも似てない音楽というのが俺の印象だ。オリジナリティがある、とかそんなレベルの話じゃない、真面目 に異星人の音楽だと思っている。彼はしゃかりきに楽器を弾いているわけだが、弾けば弾くほどに、演奏はマイナスの方向、無意味の彼方というか、非常に精度 の高い散漫な世界へ突入して行く。
ものすごく居心地の悪い世界。ある意味で“孤高”という言葉はこういうのを指すのではないか?

「To Play: The Blemish Sessions」は、あまたあるベイリーの音源の中では一番聴き易い、というか分かり易い音楽ではないだろうか?
デヴィッド・シルヴィアンのボーカルが乗っかるというのを意識しての演奏であろうことは明白だ。
トラックの切れ目に"… a fortunate ending, I'll just pick my plectrum up… I'll carry on a bit, OK?"とか"I tried electric"とかベイリーの声が入る。そこがすごくリアルだ。

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